臨床工学科
臨床工学科とは
臨床工学技士とは、医師の指示のもとに、生命維持管理装置の操作および保守点検を行う医療機器エンジニアのスペシャリストのことです。チーム医療の一員として、 安全な医療の提供ができるように業務を行っております。
当院の臨床工学科は主に5つの業務を中心に、緊急時のオンオール・当直も一部行っております。(1) 血液浄化業務
(2) 医療機器管理業務
(3) 循環器業務
(4) 手術室業務
(5) ER・ICU業務
血液浄化業務
透析室
当院透析室は北館2階・3階の計96床、260名以上の透析患者様(通院・入院)の治療を1日2クール(夜間帯含む)で行っております。 JMS社製コンソール及び通信システムが導入されており、自動化された治療環境の中穿刺をはじめとする血液浄化に関する臨床業務及び機器の保守管理業務を行い、安全で質の高い治療を目指しております。特殊血液浄化(エンドトキシン吸着・腹水濃縮・G-CAP)やICUではSLED(sustained low-efficiency dialysis)を行っており、多様な血液浄化に対応しております。 当院長の「患者様の負担を少なく日帰りでシャントを治す」という理念のもと、シャント外来での経皮的血管形成術(PTA)や血管造影検査(アンギオ)業務を行っております。近年、透析導入原疾患第1位の糖尿病は、下肢血管閉塞や傷の悪化への影響が懸念されております。当院では透析患者様の下肢に関してチェックシートを用いた目視確認や適時SPP測定やエコー検査を行い、循環器科や形成外科、フットケア外来と院内体制が構築されておりカテーテル治療やアフェレーシス治療を行える体制で患者様の下肢救済を行っております。 毎月の血液検査結果を当院独自のデータ表を作成し透析治療に対する疑問解消や指導を行い高齢社会においてQOLの高い生活を送れるようスタッフ一同努めております。
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- 使用機器:
- コンソール:透析室 JMS93台、ICU個人機 東レ1台 日機装2台 RO装置:ピュアフロー(JMS) 透析液供給装置:BC-ピュアラー02(JMS)、03(JMS) A・B剤溶解装置:AHI-502(東亜 DKK)、PDR-TB(JMS)
エコー穿針
当院では、穿針困難な患者様や脱血不良のある患者様に、エコー穿針による血管の状態の確認、導入時の穿刺部位の選定を行っております。 担当スタッフはエコー下穿針技術の教育も行い、エコーを扱えるスタッフのスキルアップを図っております。
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- 使用機器:
- Vscan Dual Prode(GEヘルスケア・ジャパン株式会社) SonoSite iViz 使用プローブL25v(富士フィルム株式会社)
フットチェック
月に1度、全患者様にフットチェックを行っております。 下肢の血流が悪い方や、フットチェック時に足の状態・訴えを確認し、適宜SPP測定を行っています。 異常時には、下肢エコー、フットケア外来、循環器と連携し、下肢治療への早期診断に関与しております。
検査データ管理
当院独自の検査データ表を作成し、毎月患者さんの検査データチェックと指導を行っております。異常値をいち早く発見し、投薬・内服などの開始・変更・中止などの医師の判断にも寄与しています。
ICU・アフェレーシス治療
エンドトキシン吸着やLDL吸着など、アフェレーシス治療やプザイリスを用いたCHDF等の急性期治療を行っております。
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- 治療実績:
- LDL吸着、エンドトキシン吸着、腹水濃縮、G-CAP レオカーナ、SLED
経皮的血管形成術(PTA)・アンギオ業務
「患者様の負担を少なく、日帰りでシャントを治す。」という 院長の理念のもと、シャント検査・評価、シャント診察、アンギオ・PTA治療が、スムーズに流れるよう業務にあたっております。 技士は、主に来院された患者様の案内から使用物品の準備、医師の物品介助補充などを担当しております。
PTA治療の流れ
シャントトラブル
エコー検査
医師の診察
アンギオ・PTA
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- PTA・アンギオ実施件数:
- 2020年度:395件 2021年度:448件
医療機器管理業務
医療機器が継続的に、安全・安心な状態で使用できることを目的に、機器の貸し出しや保守点検を行っております。 院内をラウンドし、使用されている機器が正常かつ安全に使用されているか、チェックを欠かしません。 また呼吸サポートチーム(RST)の一員として、安全な人工呼吸器の運用を目指しております。 医療スタッフへの定期講習会や、必要に応じて勉強会を開催しています。医療事故のリスク低減、医療の質の向上を目指し、医療機器の適正な使用方法の指導と安定した性能の維持にも努めております。
人工呼吸器・機器管理関連業務
安全に使用するために、機器貸し出し・返却システムを構築し、院内の1000台を超える医療機器の一括管理を行っております。 呼吸器を含む医療機器の操作説明や関連職種に対しての研修会などを行うほか、病棟ラウンドを毎日行っております。 シリンジポンプ、輸血ポンプ、低圧持続吸引器、除細動器、人工呼吸器、エコーなどの使用状態の確認、返却後の使用後点検を行い、機器故障の早期発見につなげております。また、RST(呼吸サポートチーム)の一員として、医師、看護師らとともにと院内巡視を行っております。
循環器関連業務
血管造影室
急性心筋梗塞の緊急検査や治療、血圧の低下や不整脈が続く患者様に対し、心臓や肺の働きを助ける補助循環装置の導入、狭心症や不整脈など診断、治療を行っております。
- 冠動脈造影検査(CAG)
- 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)
- 末梢血管形成術(EVT)
- 心臓ペースメーカ植込み術及び交換術
- 脳血管造影検査
技士は、検査中の心電図のモニタリング、IVUS(血管内超音波装置)操作、急変時の補助循環装置である大動脈バルーンバンピング(IABP)、経皮的人工心肺(PCPS)や人工呼吸器などの準備、介助を担当しています。 検査、治療の際には、関節介助と直接介助の両方を技士が行っており、手術の円滑な進行と成功に尽力しています。
循環器関連業務
心臓カテーテル業務では、心臓カテーテルの検査、治療時の心電図、心内圧などの記録、IVUS(血管内超音波装置)、IABP(大動脈バルーンパンピング)、PCPS(経皮的人工心肺装置)などの補助循環装置の準備・操作を行います。 不整脈業務では、主にペースメーカ植込み術・交換術においての操作、動作チェックを行い、循環器内科の医師と連携して、臨床業務を行っております。
ペースメーカ外来
心臓ペースメーカを埋め込んでいる患者様に外来にて、患者様ごとに電池の消耗度やリード線の状態、不整脈の確認をしております。適正にペースメーカが作動し、安全かつより長く使用できるように努めております。 医師と病棟を回り、外来患者さんのデータの保守や、植え込み直後の患者さんのペースメーカのチェックも行っています。
手術室・ER・ICU業務
手術室業務
麻酔器・ベッドサイド(生体情報)モニタ・電気メスなどの手術準備業務や、整形外科・外科領域の業務補助をしております。また、手術に関する機器の保守管理業務や、術後の器具洗浄から滅菌業務まで行っております。
ER・ICU
ER・ICUでは、血液浄化装置・人工呼吸器・除細動器・補助循環装置・(IABP/PCPS)などの生命維持管理装置動作確認を行い、医師や看護師、コメディカルスタッフと共に、適切な医療の提供を行っております。
CE科の取り組み
認定資格取得者
- 認定血液浄化関連臨床工学技士:5名
- 認定集中治療関連臨床工学技士:2名
- MDIC認定:1名
- 3学会合同呼吸療法認定士:2名
- 高気圧酸素治療専門技士:1名
- 第2種滅菌技師:1名
- 第2種ME技術者:21名
- 透析技術認定士:12名
- 心血管インターベンション技師:3名
- ACLSインストラクター:1名
- 病院管理士認定:1名
- 医療ガス安全管理者:1名